
明美の小学生時代は、今のように騒ぎ立てはしなかったが、イジメがあった。
先生の“ひいき”もあった。
親が働いていない子の明美はとても引っ込み思案の声の小さい、どちらかと言うとブスっ子だった。
イジメにはもってこいの子だった。
ある日の授業で、「お家にテレビがある人、手を挙げて。冷蔵庫、クーラーは。」と手を挙げさせた。
明美は、普段手など挙げないが、この時は家にあるので、手を挙げた。
放課後、クラスの男の子数人が家まで尾行していた。
この時だったか忘れたが、男の子に石を投げられ、明美の額に見事当たったのを偶然目撃した母が、凄い剣幕で、「女の子の顔に傷つけて、謝れ!」と怒鳴った。
あの、箱入り娘のお嬢様育ちの母が。
2年生か3年生の検便の時。
あの頃はマッチ箱に入れて持って行くのだが、朝、学校に行くまで臭いからと、庭に出るタタキに出して置いた。
さぁ学校に持って行こうと戸を開けてタタキのマッチ箱を見たら中身が空っぽ。
恐らくお隣の犬に食べられたのだ。
担任の先生は音楽の女の先生で、頭の良い子、可愛い子には優しく、ひいきする先生だった。
明美は先生にまで相手にされてなかった。
明美は蚊の鳴くような声で、やっとの思いで「犬に食べられました。」と言ったのに、先生はみんなに聞こえるように、「忘れたのなら、忘れたと言いなさい。犬に食べられる訳がないでしょ。」と意地悪く言った。
だって本当なんだもん。
5年生になって、担任が、赴任したばかりの男の先生。
橋本昭六先生(昭和6年に生まれたから昭六と言う名になったのだそうだ)になり、明美の性格が、そして人生が良い方向に変わった。
【つづく】
先生の“ひいき”もあった。
親が働いていない子の明美はとても引っ込み思案の声の小さい、どちらかと言うとブスっ子だった。
イジメにはもってこいの子だった。
ある日の授業で、「お家にテレビがある人、手を挙げて。冷蔵庫、クーラーは。」と手を挙げさせた。
明美は、普段手など挙げないが、この時は家にあるので、手を挙げた。
放課後、クラスの男の子数人が家まで尾行していた。
この時だったか忘れたが、男の子に石を投げられ、明美の額に見事当たったのを偶然目撃した母が、凄い剣幕で、「女の子の顔に傷つけて、謝れ!」と怒鳴った。
あの、箱入り娘のお嬢様育ちの母が。
2年生か3年生の検便の時。
あの頃はマッチ箱に入れて持って行くのだが、朝、学校に行くまで臭いからと、庭に出るタタキに出して置いた。
さぁ学校に持って行こうと戸を開けてタタキのマッチ箱を見たら中身が空っぽ。
恐らくお隣の犬に食べられたのだ。
担任の先生は音楽の女の先生で、頭の良い子、可愛い子には優しく、ひいきする先生だった。
明美は先生にまで相手にされてなかった。
明美は蚊の鳴くような声で、やっとの思いで「犬に食べられました。」と言ったのに、先生はみんなに聞こえるように、「忘れたのなら、忘れたと言いなさい。犬に食べられる訳がないでしょ。」と意地悪く言った。
だって本当なんだもん。
5年生になって、担任が、赴任したばかりの男の先生。
橋本昭六先生(昭和6年に生まれたから昭六と言う名になったのだそうだ)になり、明美の性格が、そして人生が良い方向に変わった。
【つづく】

